ギャンブルじゃないのに予想するのか? (2023年3月14日 火曜日 21:02:39) |
賭け事ではないらしいのに、記者が印を打って予想に噛んでいたり、専門の予想業者が存在していたりする。ウマ娘の公式設定のなかでもとりわけ疑問視されることの多いポイントですね。 この問題については、だいたい次の四つの立場がありえるんじゃないでしょうか。 私自身の考えとしては、1、2、3の合わせ技です。全部ふつうにあり得ることだと思ってますし、それらひとつひとつでは説得力に欠けるように思えても、複合的に見ればそんなに無理がある議論だとは考えていません。4はいちばんの少数説じゃないかな。この立場を取る人はあまりいない印象です。でも、4で正面突破を図るというのも実は魅力的なんじゃないかと思っています。 1から順に見ていきましょう。 人類の遊戯の歴史に賭け事はつきものでした。ウマ娘の世界においてもきっとそうでしょう。だから、ウマ娘のレースはかつては賭けだったという歴史的事実が存在する可能性は極めて高いと思います。それと同時に、賭け事は倫理に反するという主張も、賭け事と同じくらい歴史が古く、そして現在も根強い影響力を持つものです。 あの世界の現代日本においては、賭け事としてのウマ娘のレースは公式的には行われないことになっているけれど、しかし、かつては行われていた。もしかしたら割とつい最近まで(第二次対戦前とか、戦後すぐくらいまでは)URAが主催するギャンブルだったかもしれません。だから勝ちウマ娘を予想するという楽しみ方が名残りとして残っている。そういうふうに考えるというのが1の説です。「かつて」は具体的にはどれくらい前なんだろう。50年だろうか100年だろうか200年だろうか。文化とか伝統って残るときは結構残ったりするし、そこらへんは想像の余地がありますね。 次に2ですが、これもこの種の議論でよく用いられるアイデアですね。推し活・ファン活をするうえで勝ちウマ娘投票券があるとすごく嬉しいといった解決を図るものです。まず、勝ちウマ娘投票券はウイニングライブのチケットになると仮定する。そして、誰に投票していてもウイニングライブは観覧できるが、とくに良い席でライブを見るためには勝ちウマ娘のチケットが必要ですとか、そういうふうにする。 特典をウイニングライブに限らなきゃいけない理由はないので、その他の特典としてどういうものがありえるかを妄想してみるのも楽しいです。たくさん当てていると、URAからすっごい優待が受けられるかもしれません。もしかしたら大穴のチケットを持っていればいるほど素敵な特典が受けられるのかも。人気薄の子でも応援してチケットを買ってくれるファンはURAからすればありがたいはずなので、そういうシステムになっているんじゃないかと考えるのも面白い。 どんな優待があれば人々が勝ちウマ娘の予想に熱中するだろうか。したらばはそういう妄想をよくしています。機会があれば作品に登場するかもしれません。 ゆる〜く考えるなら、その二つの合わせ技だけで説明できないこともないと思います。この1+2で妄想を膨らませるのも面白いと思いますね。グランドライブシナリオで明らかになったように、ウイニングライブはもともと非公式だったものを公式化したものですが、もしかしたらそのタイミングはレースの非賭博化と一致してた……という陰謀論めいた考察もありえる気がします。非賭博化を機にウイニングライブを公式化し、あらたなレースの魅力のひとつとして売り出した……というふうに考えるわけです。まあ、これは一つの例ですが。 3についてですが、実際には賭博が行われているというふうに考えるものです。まあ、ぶっちゃけ行われてると思います。非公式での賭け事が行われていないと考える理由がないので。そして、記者や専門誌はそういうニーズにごくマイルドな形で応えている……のかもしれません。いや、やってる当人達も大抵の視聴者、読者もそういう意識はないかもしれませんが、機能としてはそうなっているかもしれない。 非公式の賭博があることを前提とすると、URAに取材を許可された記者や雑誌が予想を独占するということにも実は一定の意味があります(「メディアの取材はトレセン学園の許可を要する」というアプリの描写から、したらばはURAは専門メディアへの統制を図っているという設定を導入しています)。賭博の完全な取り締まりは現実的ではないので、かならず社会のどこかでウマ娘のレースで賭ける人間は存在します。その際ヤクザまがいの情報屋がウマ娘やトレーナーに接触するって話になるのは困るので、取材できる人間を限定し、予想を独占させることで間接的な統制を図るわけです。完全な賭博の排除は無理だから、上手にコントロールしようという発想ですね。よくあるやつ。 冒頭で述べたように、1、2、3はそれぞれ、単体ではじゅうぶんな説得力を持たないかもしれませんが、複合的に考えれば一定の説得力を持つと考えています。合わせ技一本。比重としては、したらばは1と2に重きを置いています。 でも個人的には、実は4がいちばんポテンシャルを感じてる説だったりします。ようは、あの世界の価値観は我々の世界の価値観とは違うという前提をおいた上で(現に違うのは明白なので)、「賭博じゃないけど勝ちウマ娘の予想は楽しい」という文化をあの世界は育てている。そういうふうに考えるわけです。1+4で妄想を広げるのもすごく面白い気がします。賭博から、非賭博の予想への飛躍。 そして、それはどのような理屈によってそうなっているのかということを考えるというのも、かなり楽しいことだと思っています。ウマ娘のレースと陸上競技の様々な違いとか。この点についてのしたらば自身の見解もありますが、長くなるので今回はこれくらいで。 |
ウマ娘世界のアイルランド大使特別賞 (2023年3月9日 木曜日 19:22:30) |
「ウマ娘世界におけるアイルランド大使特別賞をどう考えるか」という質問をTwitterでいただきました。 アイルランド大使特別賞を考察するうえでの最大の問題は、「そもそもトレーナー学校の実態がよくわからない」というところにあります(以下、トレーナーに贈られる賞だという前提で検討します)。 トレーナー学校の成績最優秀者にアイルランド大使特別賞が贈られてるっていうシンプルな設定や理解でも良さそうだとは思うんですけど、学校の実態がよくわからないので、設定として導入するのであればそこを詰める必要がある。現状、公式はそこを意図的にボカしているように見えます。 仮に、トレーナー学校がJRAによって運営される競馬学校のようなものではなく、複数の学校法人が参入する専門学校のようなものだとすれば、学校ごとの成績最優秀者は複数いることになります。すると、その全員に賞が贈られるか、学校横断的に優秀者を選んで贈るかのどちらかになります。ライセンス試験のトップに贈るとかね。あるいはそのような賞はそもそも存在しないかもしれない。どの可能性を選んでも別に構わないわけですが、競馬界における賞の実態とは乖離しますね。 もしウマ娘世界にアイルランド大使特別賞が存在するのだとすれば、トレーナー学校は競馬学校のようにURA直轄の唯一の教育機関で、そこの首席が受賞するものだと考えるのが一番シンプルです。私個人の見解もそれに近い(そう考える理由はいくつかあります)。しかし管見の限り、現状の公式の描写にはそれをはっきりと裏付けるものがない。ぶっちゃけ、アイルランド大使特別賞に準ずるような表彰制度はない可能性もあります。 結論的には、トレーナー学校が我々の世界の競馬学校と近い形態であるならば、アイルランド大使特別賞(のようなもの)があってもおかしくはないし、競馬学校と形態が異なるのであれば、成績優秀者表彰があっても我々がイメージするものとは違うだろうという感じ。二次創作的にはトレーナー学校の設定をいかにイメージするか次第ということになるでしょうね。逆に言えば、学校周りの設定さえ決め打ちしちゃえば二次創作的には話は早いということでもあります。 |
トレセン学園の左右のコース (2023年2月21日 火曜日 23:06:28) |
ありがとうございます! 感動的に嬉しいです。ウマ娘世界の面白さや興味深さをどんどん共有していけたら楽しいですよね。もっともっと考察も充実させていきたいと思っていますので、これからもどうかよろしくお願いいたしします。 さてご質問の件ですが、私のイメージは①ですね。ご指摘のとおり、確かに左右それぞれ専用のコースが学園内にあるとは考えにくいです。敷地が足りないだろうとも思いますし、開催によっては一方の土地が遊んでいるということにもなりかねないので、敷地の問題をクリアしたとしても不合理なところがあります。各種設定資料を見てもそこまでに広いようには見えないし。もちろん同時に使うのは危険。なので、左右両用のコースを日によって使い分けているんじゃないかと思いますが、問題はその運用です。考え方としては大きく二つあると思っています。
両トレセンで共通しているのは、左右のどちらかが使えない週はないということ。これはトレセン学園も同様だと思います。 私見では、トレセン学園は美浦の方式に近い運用ではないか。つまりその週の開催によって運用を変える①の方式ではないかと考えています。詳細は次の通り。 大まかなイメージは、基本的に左右のどちらかが全く練習できない週はないが、使用可能な曜日の数は左右で常に均等ではなく、開催によって重みづけされているというものです。 たとえば開催が東京中京小倉の場合は、その週は左回りで多く使えた方が合理的だし、東京阪神小倉の場合は右回りが多い方が合理的といった具合です。 かりに3対4で分けるとして、開催の少ない方が平日2日週末1日(日曜)、多い方が平日3日週末1日(土曜)とか。二場開催で左右が別れる場合は、より格の高いレースがある方を多いようにする。以上の考え方を基本線に、いくらかバランスを取るための修正を加えた運用スケジュールを学園が毎年組んでいるんじゃないかなあと。ちなみに私はトレセン学園のトレーニング施設は原則年中無休じゃないかと考えていて、そういう設定で作品を書いています。なので、フルで使えば最低週三日は目標に合わせたコースで練習が出来る。それ以外はミーティング、座学、基礎練、左右違ってもよければコースは使える、という感じでしょうか。こういうふうにすれば、目標としているレースが同じである限りは、陣営による有利不利はなくなるんじゃないかと思います。 この方式の欠点として「ややこしい」というのがあると思います。トレーナーは開催・番組を常に頭に入れてメニューを組まなければならず、面倒です。栗東のように曜日固定や、美浦のように関東の表に合わせるやり方のほうがシンプルではありますが、トレセン学園は東西で分けられていませんので、栗東とも美浦とも同じ運用にはなりそうもありません。 というわけで、トレセン学園の教職員用の手帳や、生徒用に配布される予定表には、使用可能なコースの左右が明記されているんじゃないでしょうか。直前になって間違えられないですからね。学園生活を規定する大事な要素になるだろうと思います。 使用可能な施設やコースといった条件を考慮した上でメニューやローテを組むのも、トレーナーの重要なスキルのひとつだろうなーと妄想しています。 |